再会した彼女は…
ミキがフィリピンに帰国してから、
六ヶ月が過ぎた頃。
ある日の夕方少し前、突然携帯が鳴った。
画面には、知らない番号が表示されていた。
怪訝そうに電話に出ると、
「モシモシ~♪アサワコ~…アコ、もうニホンにいるヨ~」
ミキからの、日本到着のお知らせだった。
それにしても、名字を呼ぶのでなく、
アサワコ~である。
お客さんとして繋ぎ止める作戦だとわかっているつもり…。
が、アサワコ~と呼ばれると嬉しくなってしまう自分がいた。
後日、詳しく聞くと…今度のお店は、
同じ県内だが少し山間部の市にあるらしい。
店名と場所を聞き、来店する日を約束。
そして、当日…。
お店に着くと、
髪をロングからショートヘアーにし、雰囲気は少し変わったものの、紛れもないミキが待っていた…。
彼女は、満面の笑顔で出迎えてくれた。
帰国中に電話でコンタクトは取っていたが、
やはり、会って話をするほうが嬉しい。
久し振りの再会に1時間では足らず、
延長して2時間を費やし、ミキと話し込んでしまった。
これからは、ミキの「お客さん」となり、お店に通わねばならない…
そんな事は深くは考えず、ただ再会できたことが素直に嬉しかった。
日曜日は同伴の日!
その頃、
実は勤めていたフィリピンパブを辞めて、
違うお店に移っていた。
日本人の女の子のお店で、日曜日は店休。
それを知ったミキは、
同伴をお願いするようになった。
夕方4時半くらいに、
彼女達のアパートの近くで待ち合わせし、
午後8時までに入店する。
3時間余りの擬似デートだ。
買い物したり、食事したりでアッという間に時間は過ぎていく。
「何が食べたいの?!」
と聞くと、
「ラーメンがいい!みそラーメン!!」
と答えるミキ。
「またラーメン?
この前の同伴でもラーメンだったけど?」
心の中ではそう思いながらも、
決して口に出して言葉にはできない。
彼女に限らず、フィリピンパブのタレントの女の子はラーメンが好きなようだ。
ミキのお気に入りは、味噌ラーメン。
味噌、醤油、塩と試し、豚骨は油でパス。
その結果、味噌が一番美味しい!と。
時には焼き肉を食べにも行ったが、
同伴といえば、
ほとんどラーメンばかり食べていた記憶が残っている。
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