フィリピンが好きだから…
フィリピンパブで仕事を始めるようになると、
いつも笑顔の絶えないフィリピーナ達に囲まれ、その魅力にハマっていった…。
普段は、
夕方4時に出勤すると、お店の掃除などの開店準備に始まり、
ミーティング、系列店の日本人の女の子の送迎などに従事。
お店の営業時間は夜7時~翌日の午前4時まで。
その間は厨房兼ホール係(ウェイター)として忙しい業務をこなす。
営業終了後は社長から全スタッフ、女の子全員へのその日の営業に関する一言がある。
売り上げが悪い日は、
1時間近くも社長からの喝入れがあった。
そのため、
お客さんが少なく、売り上げが悪かった日などは、
スタッフもフィリピーナの女の子達も、これから始まるミーティングに皆一同に沈んだ暗い顔で、社長に戦々恐々としたものだった…。
ちなみに、社長は普段は笑いが絶えない豪快な印象。
仕事には厳しいが、
それだけに筋が通っている人だ。
接客の仕方にしても、
理論立ててフィリピーナの女の子にもキチンと指導し、
その通りにするとリクエストも確実に増えるので、
女の子からの信頼は抜群だった。
…
ミーティング終了後は再び女の子の送迎、お店の清掃などがあり、
午前6時位に退勤…。
基本的には、そんな毎日を送っていた。
1日12時間以上も拘束され、休日は月に2日。
まだ20代だったから身体も何とかなったが、
フィリピン、フィリピーナの女の子が好きでなかったら、
とても耐えられない激務なのは確かだ…。
愛を贈りたいから…
そんな激務の毎日だが、
フィリピーナの女の子の魅力にハマっていた自分からすれば、
給料を貰いながら、フィリピンパブを楽しんでいるような感覚だった。
覚えたてのタガログ語で女の子と話をしたり、
お客さんの歌うタガログソングに興味を持ったり。
時々、
スタッフなのかお客さんなのか、
自分でもわからなくなるくらいに感じたのを覚えている…。
…
そんなフィリピンパブで、お客さんがよく歌っていたのが、
山根康広 "Get Along Together"
だった…
まるで、
タレントのフィリピーナの女の子と、お客さんの恋を歌っているようでもある。
日本中のフィリピンパブで、
どれだけ歌われたのだろう…。
当時はそれ程歌詞が心に刺さらなかったが、
フィリピーナの女の子と結婚した現在は、痛いほどに歌詞が理解できる。
今でもこの曲を聴くと、
イントロのメロディーだけで、
涙が浮かんできてしまうくらいになってしまった。
フィリピンパブ時代の心に残る名曲である…。
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