パラダイス?!
20歳の時に、
先輩に連れていってもらった、
フィリピンパブ。
しかし、
当時の自分の肌には合わず、
嫌な思い出だけが残り、
さらにフィリピーナが嫌いになった。
それから約6年後…
既に、
水商売の世界に足を踏み入れていたが、
そこで出会った、
二人のフィリピーナのお陰で、
自分勝手な
「フィリピーナに対する偏見」
が消えていった。
いや、
それだけに収まらず、
「もっとフィリピーナと仲良くなりたい!」
そんな想いから、
市内でも、
『トップクラス』の人気店でもあり、
また、
スタッフには厳しい…
と評判だったお店に、
決意を固め、移ったのである。
当時はまだ、
調理師として活躍したい!
という強い想いから、
調理師学校の夜間部に通っていた。
その為、
正社員ではなく、
夜10時過ぎから、
朝4時の閉店までの、
アルバイトとして働き始めた。
誰だ、誰だ、誰だ?!
働き始めてしばらくした、
ある日のこと─
閉店時間も近づいてきた、
午前3時ころ、
お店の入り口の横のカウンターで、
店長と時々笑いながら話している、
男性の姿が目に入った…。
「ワッハハハ…」
豪快な大きい笑い声は、
存在感が際立っていた。
また、あの人だ…
店長と笑いながら話している様子から、
かなり親しい間柄なのだろう。
しかし、
どうもお客さんではない。
毎日のように見かけるけど、
一体誰なんだ?!
背丈は自分と大して変わらない。
しかし、
がっしりとした体格、
緩めのパーマをかけたヘアスタイル、
顔つきは、
眉毛が太く、
髭も剃り跡が濃い…
そう、
まるで…
何かのTV番組で見たことがある、
長嶋茂雄の選手時代にソックリ!!
の顔つきだ。
しかも、
物腰や、
醸し出す雰囲気から、
ただ者ではないな…
それだけは、
はっきり伝わってきた。
と、その時─
「松田~、コッチに来てくれ!」
と、店長から呼ばれた。
一体、何だ?!
そう思いながら、
店長と、
『独特の雰囲気』を漂わせている、
その男性の立っているところへ、
少し緊張しなから、
足早に向かう─