あの出会いが始まり‥
妻と初めて出会ったのは、
俺が当時勤めていたフィリピンパブだった。
そう、スタッフとタレントという関係での出会いだ。
正直言うと、タイプの女の子ではなかった。
妻と初めて出会ったのは、
俺が当時勤めていたフィリピンパブだった。
そう、スタッフとタレントという関係での出会いだ。
正直言うと、タイプの女の子ではなかった。
自分がフィリピン人女性と結婚した20年以上前、
日本人男性とフィリピン人女性との国際結婚は、
同じ日本人から、
それは酷い言われ方をした。
代表的なのが、
「アイツは日本人女性に相手にされないから、フィリピーナと結婚した…」
というもの。
世の中は、いろんな縁で繋がっている。
人生に於いて出会う人も、不思議な縁で結ばれていて、
出会うべくして出会う…。
フィリピン女性と国際結婚し、
晴れて日本で一緒に暮らせるようになると、
それまでの苦労(必要書類を揃え、フィリピンの日本大使館に出向いて提出したり、
現地で結婚式を挙げたり…などなど)が報われた嬉しさ、
喜びが、とても大きい。
よしっ!!
そんなガッツポーズをしたくなる心境…
と言えば、
わかってもらえるだろうか。
しかし、
世間は、″外国人妻″ に対して厳しい。
いきなりですが…
今の日本は、正社員よりも非正規雇用の割合いが高い、と言われていますよね。
昔ならば(バブル時代くらいまで)、
『終身雇用』
『年功序列で給与アップ』
が保証されていた。
しかし現在は、
企業側は必要な時に安い費用で人員を雇い、
必要がなくなれば、
平気で契約解除してしまう。
安い給料で、不安定な雇用状態。
恋は盲目とも言われるが、
恋人同士の頃は、
まるで世界は二人だけのためにある…
そう思ってしまうほど、周囲が見えず、視野が狭くなってしまう。
二人だけの甘いささやき、
そして幸せな気分に心は高揚し、
このまま一生、二人で幸せに暮らしていけるのではないか…
そう確信し、お互い結婚に踏み切るのである。
だが、それは時には錯覚でもあり、
二人は現実の厳しさに目を覚ますことになる…。
毎日顔を合わせていれば、
恋人時代には目につかなかった、
相手の嫌な一面とも付き合わねばならない。
「この人、こんな隠れた顔を持っていたのか!」
ここでお互いが歩みより、相手を尊重しあっていければいいのだが、
「ここだけは許せない!」
となると、そのうち相手の全てが目につくようになってしまう。
箸の上げ下げ、食べ方までがイヤになってしまったら、黄信号から赤信号だ。
もう、そうなると仮面夫婦であり、
いつ離婚しても不思議でない状態である。
そして、
離婚届けを出せば、二人は自由の身となる。
日本では、簡単に離婚が成立してしまうが、果たして良いのか悪いのか…。
日本人同士のカップルなら、
離婚届けという、紙切れ一枚を市役所に提出してしまえば離婚成立だ。
フィリピーナとの離婚も同様なのか?
日本国内でなら、離婚は認められる。
離婚届けを出すだけだから。
ところが、フィリピン国内では離婚が認められていない!
つまり、一度結婚してしまうと、
例え仲が悪くなって別居し、
他の彼氏彼女と結婚したいので別れたい…
ということが出来ないのである。
日本国内では、離婚は出来る。
しかし、フィリピンには籍が残ったままになってしまう。
これは、たぶんキリスト教が関係していると思われる。
それが、あの結婚の誓い、
「汝は、富めるときも病めるときも…」にも表れている気がする。
それから、フィリピンでも日本と同じく、重婚は禁止である。
どうしても離婚を成立させたい!
となると、裁判所の承認が必要になる。
アナルメントと言われるものだが…。
これには時間とお金が必要になり、
日本人がするとなると、
費用を上乗せされて、そのくせ時間がかかる…らしい。
認められれば、
結婚は初めから無かったことになり、無効が証明される。
だが、こういったことは、
数は少ないようである。
勢いに任せただけのフィリピーナとの結婚は、
後々を考えると止めるべきだろう…。
結婚は人生を左右する一大事だから、
よく考えねばならない。
日本人同士が結婚する場合、
極端な話、婚姻届を市役所等に提出するだけでもいい。
婚姻は、両性の合意によって成立する…
例えば、
日本にいるフィリピン人女性と結婚するなら、
女性側の出生証明書があれば、申請はできるかもしれない。
(詳しくはわからないが)
しかし、ビザや在留資格のことを考えれば、
フィリピンで結婚してから、日本の役所に婚姻届を出すのが一般的だし、
後々のことを考えれば間違いない…。
フィリピン人女性がオーバーステイ状態で結婚生活(正式な結婚とは言えないから、同棲、事実婚のようなもの)
を続けてもメリットは何もないからだ。
自分の場合は、
彼女はフィリピンにいるし、結婚前にご両親に挨拶するのは当たり前だ、
と思っていたので、
フィリピンへ行き、現地で結婚してから日本の役所に婚姻届を出す…
という道順を踏んだ。
国際結婚はなんて面倒なんだ!
日本人同士なら、婚姻届という紙切れ一枚でも結婚は成立するのに…
そう考えてしまいそうな状況だが、
好きな彼女と、いよいよ結婚できる!
そんな嬉しさのほうが大きくて、
各種の書類を集めるのも、不思議とあまり面倒には感じなかった。
現地での手順は次の通り。
①在マニラ日本大使館で『婚姻要件具備証明書』を夫となる日本人が申請
以下、それぞれの必要書類
日本人
フィリピン人
(ない場合は、出生記録不在証明書と洗礼証明書)
②婚姻要件具備証明書が、申請日の翌日午後に交付される
(後にコピーが必要になるので、3通以上作成しておく)
③3ヶ月以内に、
フィリピン人婚約者が『6ヶ月以上継続して居住している住所地の市町村役場』に2人で出頭し、
婚姻許可書の申請をする
④『申請日から10日後』に婚姻許可書が発行されるので、
120日以内に判事/牧師の下で結婚式を挙げ、結婚契約書に2人が署名
⑤婚姻契約書をフィリピン側市町村役所に登録、
その謄本を日本での婚姻届の際に提出(結婚から3ヶ月以内)
おおまかに記しても、
やはり手間がかかるし、実際に現地での行動は大変だ。
しかし、大変な思いをした分、
無事に結婚でき2人で暮らし始めた時の喜びは、例えようがないほどの嬉しさだが、
それはもう少し先のこととなる…。
彼女と結婚の約束を取りつけ、まずは一安心。
しかし、
国際結婚って一体どうすればいいのか?
書類は何が必要なのか、
どんな手順で結婚すればいいのか?
全くわからないことだらけじゃないか!!
外国人と結婚するのだから、
とりあえず外務省かな?
と思いつき、番号を調べて電話をしてみた…
市役所とかに電話したことはあっても、
外務省に問い合わせとかしたことはない。
『すみませんが、フィリピン人女性と結婚するのですが、必要書類や手続きの仕方を教えて頂けますか?』
そう伝えると、
担当する部署に繋いでくれ、
担当者から簡単な説明を受けた。
そして、
手続きや必要書類を記載した案内書を郵送するとの事。
後日、無事に外務省からの手紙が届いたのだが…。
戸籍謄本、住民票は予想できたが、
勤務先からの在職証明書、
給与明細、源泉徴収なども必要との事。
そして、
フィリピン現地での結婚手続きの方法などが記載されていた。
その中で、んっ?と思うものが…。
二人が知り合った経緯書?
日本人同士が結婚する場合、
もちろんそんな書類は必要ない。
一体、
何の為にこういう書類が必要なのか…
これは、偽装結婚かどうかを調べる為に、
二人が知り合った経緯が必要なのでは…
と思っている。
日本で仕事がしたいフィリピン人女性に、
手っ取り早く日本に入国させる方法として、
「日本人の配偶者」
のビザを取得させるため、
全く会ったことがない日本人男性に、報酬を払い、偽装結婚させる。
そしてフィリピン人女性を日本に入国させる…
そんなプロモーターがいると聞いたことがあるが、おそらくそういったことの防止策ではないだろうか…。
それはともかくとして、
知り合った経緯書は、特に書式はなく、
手書きでよいというアバウトさだ…。
こんなところに、
思わずフィリピンらしさを感じてしまう。
ただ、
〈フィリピンパブのホステスをしていた彼女に出会って~〉
と、いうのは良くない…
と以前読んだ本に書いてあったので、
〈ダンサーとして興行来日していた彼女に、○年○月に○○というお店で出会い~〉
といった感じで、経緯書には書いた。
フィリピンパブでホステスの仕事とはいえ、
彼女らフィリピーナはそれぞれがシンガー、ダンサーという資格で興行ピザを取り、
来日しているのだから、ホステスをしていた…ではマズいだろう。
そう思ったからなのだが…。
また、書類のほかに、
二人で一緒に写っている写真が1枚必要なのだが、これも偽装結婚によるビザ取得の防止策では…と思われる。
全く会ったことがない外国人と結婚するのはおかしいし、
付き合っていたなら、二人で一緒に写真くらい撮ってあるだろう…
という事らしい。
結婚という初めての体験、
しかも国際結婚…。
バラ色の未来を夢見ている、わくわくした心境で準備は進んでいった。
自分が二十歳の時、職場の先輩に連れられ、初めてフィリピンパブに足を踏み入れた。
当時は日本人の女の子のお店には毎週のように飲みに出かけていたが、フィリピンパブには興味がわかなかった…。
それは、フィリピンからの出稼ぎのホステス、片言のよくわからない日本語、そしてフィリピーナに関わるとトコトンお金を搾り取られる…という噂やマイナスイメージから興味が持てなかった。
フィリピン人は基本的に明るく人懐っこく、ジョークが好き。そして、とても家族思いだ。
特に、両親のことは大切にする。
家族のために出稼ぎで日本に来ることも、厭わない。
当時はそんなことなど知らないから、
日本語が通じないし、化粧も濃いし、つまらない…
それだけの理由で、フィリピーナ、フィリピンパブを意識的に避けていた…。
だが、それは食わず嫌いだった…。
ふとしたきっかけで、フィリピンパブで仕事をするようになった。
出稼ぎに来ている境遇さえも、まるで楽しむかのように、いつも笑顔を忘れないフィリピーナたちを目の当たりにした時、
あぁ、なぜ気付かなかったのか?!
と思わずにはいられなかった…。
明るくジョークが好き。
南国気質と言えばそれまでだが、日本人にはない、太陽のような天性の明るさに触れた時、こちらの気分までが明るくなるのを感じ、その魅力に気付かされた。
悪く言えば、フィリピーナの魔力にハマってしまった…。
そして、まさかフィリピーナと結婚するとは自分でも驚きだ。
止めたほうがいいよ…
そう忠告してくれる人もいたが、彼女と結婚したい!という勢いに任せて突っ走った…。
世間一般からすれば、あり得ないかもしれない。
信じられない、バカな奴だ、人生終わったな…そう嘲笑し冷ややかに見る者もいる。
だが、フィリピーナと結婚したからこそ見えてきたこともある。
もし日本人女性と結婚していたら、フィリピンとは無関係の人生を送っていたかもしれない。
日本人、日本について今みたいに考えることはなかったかもしれない。
フィリピンの貧困について考えることもなかったかもしれない。
だが、やはりフィリピーナと国際結婚して良かったと思っている…。
自分に色々な気づきを与えてくれた妻に、感謝したい。
国際結婚していると言うと、
「すごいですね!」と言われることが多い。
奥さんどこの国ですか?と聞かれ、
「フィリピンです…」
と答えると、相手も何と言ったらよいのか、困っているのが手に取るようにわかり、こちらも複雑な心境になる…。
それほど、フィリピーナとの国際結婚は、はっきり言って印象が悪い…。悪すぎる!!
なぜ、こんなにもフィリピーナとの結婚の
印象が悪いのか?!
フィリピーナはお金のことしか考えてないから、関わるとロクなことがない…
結婚したら、全財産を失う!とまで言われる。
これは、フィリピンパブの影響がかなり大きいと思える。
1970年代(昭和50年代)からフィリピンパブの存在が世に知られるようになり、バブル期の1980年代後半からフィリピンパブの隆盛が始まり、90年代後半にピークを迎える。
欧米人女性と違い、日本人男性と釣り合いのとれる身長で、プロポーションも良く、陽気ですぐに仲良くなれるフィリピーナは、日本人男性を夢中にさせた!
お気に入りの女の子に会いたくて、毎日フィリピンパブに通う者や、彼女を自分に振り向かせようと何でも買ってあげたり、お金まで渡す者が続出する有り様。
彼女らが出稼ぎに来てることなど、すっかり忘れて…。
フィリピーナのほうは、家族のためにお金が欲しくて出稼ぎに来てるのだから、そんなお客からお金をもっと引き出そうとする…。
お兄さんが病気になっちゃってタイヘン、助けて?!
今月中にお金払わないと、フィリピンの家を売らないといけなくなっちゃうカラ、お願い助けて?!
こんなのはまだ甘い方で、こちらが思いもしない様々な理由でお金を出させようと考える…。
お客に結婚をチラつかせて、お金を貰おうとしたフィリピーナもいたことだろう。
最初の頃は、それらが通用していたのだろうが、全国津々浦々に雨後の竹の子の如く出来たフィリピンパブのお陰で、お客の間でも彼女らの手法が知れ渡ることになる…。
そして、
彼女に騙された、お金を騙し取られた、結婚の約束をしたがフィリピンに旦那がいた…
等々が至るところで起こり、その結果…
フィリピーナ=金の亡者、ウソつき、
というイメージが出来あがった…。
そんなイメージでコテコテに固められたフィリピーナと結婚していると言えば、一般的には少し引かれてしまうのが普通だ。
それこそ、アイツも終わったな…である。
このように、フィリピーナとの国際結婚には、周囲の日本人による差別意識が常について回るのが現実である…。
タグ:フィリピーナ.奥さん. 国際結婚.