ウーカイウーカイ
フィリピンに初めて行った21年前、
見るもの聞くもの、
それこそ何もかもが珍しく感じ、
マニラ空港から彼女(今の妻)の家に行くまでの、
車中から見える景色でさえも、
一つたりとも見逃すまい…
そんな感じだった。
彼女の家に着いてからも、
お洒落な感じの窓や、
天井に取り付けてある大きな羽根が、
まるで空気を攪拌するように、ゆっくり回っている様子に南国を感じ、
「本当にフィリピンに来たんだ!」
そんな感動が溢れてきた。
彼女のお母さんが作ってくれたフィリピン料理も、
私の口には合い、美味しく頂いた。
…
そんなフィリピン訪問だったが、
よく晴れた日の昼過ぎ、
「アサワコ、今からウーカイウーカイにいくよ」
と、彼女の一言。
ウーカイウーカイ?!
その何とも楽しそうな響きに誘われるように、
何のことかよくわからないまま、
彼女と、彼女のお姉さんと私の三人で、
ウーカイウーカイとやらに、出かけることになった。
何てことはない…
彼女の家のある通りを5分も歩かないうちに、
その、"ウーカイウーカイ" とやらに着いた。
「アサワ、着いたよ!」
そこは、
店先にジーンズがいくつも並べられていたり、
赤、青、黄色といった派手な色のTシャツがハンガーにかけられ、
天井から吊るされている。
6畳あるかないかという広さで、
私たち3人が入ると、
もう店内は身動きが取れない。
洋服屋さんかぁ~
だが、
ジーンズやTシャツは、どことなく『くたびれた』ようにも見える。
そう…
ウーカイウーカイとは、
いわゆる『古着屋さん』のことだった。
フィリピンでは住宅街に、
"サリサリストア"
と呼ばれる、日用品を売っている個人経営の小さなお店がアチコチにあるが、
ここのウーカイウーカイも、そんな感じだ。
そのためか、Tシャツのデザインも、
何となくイケてないものが多い。
「パゲ~ット…」(ダサ~い)
思わず、そんな声がお姉さんからも聞こえる。
それでも、何枚か気に入ったデザインのTシャツがあったので、
私はそれを買った。
好きな色だけど?!
ちなみに…
パレンケ(市場)には、ウーカイウーカイがいくつもあり、
お店によって商品のグレードが違い、
値段の高いお店には、やはりデザインも質も良い古着が多い。
見ているだけでも楽しい…
そんなウーカイウーカイ。
いや、見ていれば買いたくなるウーカイウーカイ…。
ただ、
オレンジ色のTシャツなどは、
フィリピン人は滅多に着ないらしい。
それは、
囚人服がオレンジ色だから…
なるほど~
と納得した私だった。
それが、
昨年のフィリピン訪問では、色とデザインが気に入り、
オレンジ色のTシャツを買ってしまったのである。
日本でしか着れないが、仕方ないですね。
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