ロジータの伝説
フィリピンの花というと、「サンパギータ」が有名ですが、
これはジャスミンの一種で、
良い香りがして、可憐な白い花がとても綺麗です。
マニラ空港を出ると、
サンパギータの花を繋ぎ合わせた首飾りを売っている子供の姿を、
よく見かけたりします。
そんなフィリピンを代表する花ともいえるサンパギータに、
悲しい伝説があることをご存知でしょうか?
…
まだスペイン人がフィリピンにやって来る前、
マニラ近郊に、バリンタワクとガガランギンという二つの集落があったそうです。
バリンタワクの領主には、ロジータという美しい娘がいて、
多くの若者が言い寄ってきましたが、
誰一人として、ロジータを振り向かせることができませんでした。
そんなロジータの心を射止めたのは、
ガガランギンの領主の息子である、デルフィンだったのです。
二つの集落は隣同士ながら、敵対関係にあり、
二人の親である領主も敵対しています。
しかし、誰もロジータとデルフィンの愛を止められません。
満月の夜に、
二人は集落を隔てている長く続く竹柵の一番端で、
密かに会っていました。
そんなある日、
バリンタワクの兵士が竹柵を壊してしまったことに端を発し、
ガガランギンとの間に領土紛争の危機が訪れます。
両軍がいよいよ戦端を開こうかという寸前、
ガガランギンの領主が病に倒れ危篤となり、
息子であるデルフィンが、戦の指揮を執ることになりました。
デルフィンには、戦闘の経験がありません。
そんな彼が戦場に出たら…
このことを知ったロジータは、
何とか戦いを止めさせようと使者を送ろうとしますが、
その前に戦いが始まってしまいました…。
激しい戦闘が何日も続き、
デルフィンも深い傷を負い、意識が薄れていきます。
「私が死んだら、ロジータと会っていた場所に埋めてほしい」
そう言い残し、彼は息を引き取ります。
そして、それを知ったロジータも、
失意のうちに病に倒れます。
何人もの医者が呼ばれましたが、
恋人デルフィンを失い、
悲しみに打ちひしがれたロジータを救うことはできず、
「私が死んだら、竹柵の外れに眠るデルフィンの横に埋めてほしい」
父にそう伝え、彼女は亡くなりました。
Sumpa kita!
それから長い年月が経ち、二つの集落も無くなり、
人々の記憶からも消えていきました。
そしてスペイン人がやって来てマニラの街を作り、
ガガランギンとバリンタワクのあった場所にも、人が住むようになりました。
しばらくすると、
二つの集落のあった場所に住むようになった人々から、
奇妙な噂が伝わるようになったのです。
毎年五月の満月の夜になると、若い女性の
「Sumpa kita!Sumpa kita!」(私は誓います!私は誓います!)
という可憐な声が聞こえてくる、と…。
しかし、声のする場所には白い花が咲いているだけ。
不思議に思った人々が、恐る恐るそこを掘り返してみると、
寄り添うようにして埋められた二つの亡骸が現れ、
白い花の根の先が、
二つの亡骸の口まで繋がっていたという。
それを見た長老が思い出したのです…
かつてこの地で、
デルフィンとロジータの悲しい愛の物語があったことを。
この話は瞬く間にフィリピン中に伝わり、
ロジータが白い花を通してデルフィンに伝えた
「Sumpa kita」という言葉は、
二人の永遠の愛を象徴する白い花の名前となったのです。
『Sumpagita (永遠の愛を誓う)』
…
この話を聴いた時、
私は涙が出てしまいました。
それと同時に、
サンパギータの花にまつわる伝説を今も大切にするフィリピンのことが、
今まで以上に好きになりました。
フィリピン人は、ロマンチストですね。
※なお、今回のこのお話は、
佐賀唯一のタイ式整体屋さんのブログから引用させて頂きました。
ありがとうございます
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