アコがボス‥
「日本人の配偶者」としてビザが下りた彼女を、
フィリピンに迎えに行き、晴れて夫婦として日本入国を果たし、
2人での生活が始まった。
フィリピンにいた時と違い、
料理や洗濯の家事を、彼女はしなければならない。
『アコ、フィリピンではボスだよ』
そう言って憚らない彼女。
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「日本人の配偶者」としてビザが下りた彼女を、
フィリピンに迎えに行き、晴れて夫婦として日本入国を果たし、
2人での生活が始まった。
フィリピンにいた時と違い、
料理や洗濯の家事を、彼女はしなければならない。
『アコ、フィリピンではボスだよ』
そう言って憚らない彼女。
妻と初めて出会ったのは、
俺が当時勤めていたフィリピンパブだった。
そう、スタッフとタレントという関係での出会いだ。
正直言うと、タイプの女の子ではなかった。
自分がフィリピン人女性と結婚した20年以上前、
日本人男性とフィリピン人女性との国際結婚は、
同じ日本人から、
それは酷い言われ方をした。
代表的なのが、
「アイツは日本人女性に相手にされないから、フィリピーナと結婚した…」
というもの。
世の中は、いろんな縁で繋がっている。
人生に於いて出会う人も、不思議な縁で結ばれていて、
出会うべくして出会う…。
フィリピン女性と国際結婚し、
晴れて日本で一緒に暮らせるようになると、
それまでの苦労(必要書類を揃え、フィリピンの日本大使館に出向いて提出したり、
現地で結婚式を挙げたり…などなど)が報われた嬉しさ、
喜びが、とても大きい。
よしっ!!
そんなガッツポーズをしたくなる心境…
と言えば、
わかってもらえるだろうか。
しかし、
世間は、″外国人妻″ に対して厳しい。
2020年時点で、
この世界には約79億人の人がいるといわれ、
男性と女性が、ほぼ同じ割合で生存している。
それぞれの地域に生まれ、成長し、
やがて結婚し、子孫を残し、
この世を去っていく。
ほとんどの人が、
生まれ育った地域(国)の人と結婚し、人生を過ごしている。
それは、ある意味では当然だろう。
しかし、
私のように国際結婚している人も、一定数いる。
いきなりですが…
今の日本は、正社員よりも非正規雇用の割合いが高い、と言われていますよね。
昔ならば(バブル時代くらいまで)、
『終身雇用』
『年功序列で給与アップ』
が保証されていた。
しかし現在は、
企業側は必要な時に安い費用で人員を雇い、
必要がなくなれば、
平気で契約解除してしまう。
安い給料で、不安定な雇用状態。
日本人同士が結婚する場合、
極端な話、婚姻届を市役所等に提出するだけでもいい。
婚姻は、両性の合意によって成立する…
例えば、
日本にいるフィリピン人女性と結婚するなら、
女性側の出生証明書があれば、申請はできるかもしれない。
(詳しくはわからないが)
しかし、ビザや在留資格のことを考えれば、
フィリピンで結婚してから、日本の役所に婚姻届を出すのが一般的だし、
後々のことを考えれば間違いない…。
フィリピン人女性がオーバーステイ状態で結婚生活(正式な結婚とは言えないから、同棲、事実婚のようなもの)
を続けてもメリットは何もないからだ。
自分の場合は、
彼女はフィリピンにいるし、結婚前にご両親に挨拶するのは当たり前だ、
と思っていたので、
フィリピンへ行き、現地で結婚してから日本の役所に婚姻届を出す…
という道順を踏んだ。
国際結婚はなんて面倒なんだ!
日本人同士なら、婚姻届という紙切れ一枚でも結婚は成立するのに…
そう考えてしまいそうな状況だが、
好きな彼女と、いよいよ結婚できる!
そんな嬉しさのほうが大きくて、
各種の書類を集めるのも、不思議とあまり面倒には感じなかった。
現地での手順は次の通り。
①在マニラ日本大使館で『婚姻要件具備証明書』を夫となる日本人が申請
以下、それぞれの必要書類
日本人
フィリピン人
(ない場合は、出生記録不在証明書と洗礼証明書)
②婚姻要件具備証明書が、申請日の翌日午後に交付される
(後にコピーが必要になるので、3通以上作成しておく)
③3ヶ月以内に、
フィリピン人婚約者が『6ヶ月以上継続して居住している住所地の市町村役場』に2人で出頭し、
婚姻許可書の申請をする
④『申請日から10日後』に婚姻許可書が発行されるので、
120日以内に判事/牧師の下で結婚式を挙げ、結婚契約書に2人が署名
⑤婚姻契約書をフィリピン側市町村役所に登録、
その謄本を日本での婚姻届の際に提出(結婚から3ヶ月以内)
おおまかに記しても、
やはり手間がかかるし、実際に現地での行動は大変だ。
しかし、大変な思いをした分、
無事に結婚でき2人で暮らし始めた時の喜びは、例えようがないほどの嬉しさだが、
それはもう少し先のこととなる…。
国際結婚云々の前に、日本の現状から…。
今の日本は、20世紀では想像も出来なかった格差社会になっている。
自分が学生だった30年ほど前までは、日本は「一億総中流社会」とまで言われ、
日本人のほとんどが中流意識を持っていた。
確かに当時も富裕層と貧困層は存在はしていたが、
その他の日本人ほとんどが似たような所得状況だった為、
Γ大金持ちではないが、生活に困るほどの貧困でもない」
と、半数以上の日本人が中流意識だった。
それが、21世紀に入りもうすぐ20年になろうとする現在、予想以上の速さで富裕層と貧困層の格差が広がっている。
何でも現在は、バブル期に匹敵する好景気と言われるが、大多数の日本人にそんな感覚はないのでは…?
また、日本の借金は1066兆円(2016年12月末)で、
世界一番の借金国でありながら、政府の金融資産574兆円(2015年3月末)、
対外資産366兆円(2014年度末)のおかげで、ギリシャのように財政破綻をしないで済んでいる。
平均寿命は男女ともに80歳を超えて90歳に届く勢いにある反面、年間出生率は2016年で97万人。
加えて女性の社会進出の増大による晩婚化により、女性が一生のうちに産む子供の数は
平均1・5人と、多くても2人となっている。
2035年には、男性の3人に1人、女性の5人に1人が生涯未婚になるという予測もある。
世界中のどの国よりも、少子高齢化が進む日本。
そして、正社員よりも契約・派遣社員が多いという雇用状況。
これは男性に顕著だが、低賃金で重労働、年収300万円以下の割合は40%超にもなる…。
年収300万円以上になると結婚率は25%を超える(2013年厚労省白書)が、
それ以下の男性の既婚率は1割以下になるらしい。
ちなみに、金融資産1億円以上の富裕層は日本人全体の2.3%足らず…。
まさに、ピラミッド型格差。
このように、日本の将来を考えると、明るいものが見えてこない気がしてくる。
確かに、男性が年収200万円で結婚し、子供が1人だけだとしても、その生活はかなり厳しい。
年収300万円だと、月収25万円(ボーナスがないとして)になるが、それでも楽ではない。
だからと言って、生涯独身を通したとして、それであなたは幸せですか?!と聞いてみたい…。
日本のグローバル化と言われて久しいが、街中で外国人を見かけることは珍しくなくなった。
中国、韓国、ブラジル、フィリピン、タイ、アメリカ、イギリス、イラン…
自分の住んでいる県内でも、それらの国籍の人達を見かけるのは珍しくはない。
アフリカ系と思われる黒人の人も、最近はよく見かけるようになった。
日本の若者がやりたがらない危険でキツイ仕事(建設土木などに代表される現場仕事や肉体労働)、介護などの労働者不足の職業は、積極的に外国人労働者を今後受け入れていくだろう。
今や、外国人労働者は必要な存在になっている。
少子高齢化社会が進んでいく今後の日本は、外国からの移民を受け入れていかねば労働者不足に陥り、国が成り立たなくなる可能性すらある。
無制限に外国から移民を受け入れるということではなく、労働力不足の現場にはそういった事も必要だ。
10年後、15年後、日本に定住している外国人は現在よりも確実に増えていると思われる…。
それとともに、日本人の外国人に対する理解も進んでいくだろう。
フィリピーナが奥さん、というのも特別珍しい存在ではなくなるかもしれない。
例え生活は苦しくても、夫婦お互いに助け合っていくところに、幸せを見い出せるのではないか?
年収が300万円台であっても、精神的に幸せな勝ち組になれるなら、それは素晴らしいことだ!
フィリピーナと国際結婚をする人は、結婚できない人が増えるだろう今後を考えれば、
十分に勝ち組(精神的な面も含めて)だと思うが、どうだろう…。
自分が二十歳の時、職場の先輩に連れられ、初めてフィリピンパブに足を踏み入れた。
当時は日本人の女の子のお店には毎週のように飲みに出かけていたが、フィリピンパブには興味がわかなかった…。
それは、フィリピンからの出稼ぎのホステス、片言のよくわからない日本語、そしてフィリピーナに関わるとトコトンお金を搾り取られる…という噂やマイナスイメージから興味が持てなかった。
フィリピン人は基本的に明るく人懐っこく、ジョークが好き。そして、とても家族思いだ。
特に、両親のことは大切にする。
家族のために出稼ぎで日本に来ることも、厭わない。
当時はそんなことなど知らないから、
日本語が通じないし、化粧も濃いし、つまらない…
それだけの理由で、フィリピーナ、フィリピンパブを意識的に避けていた…。
だが、それは食わず嫌いだった…。
ふとしたきっかけで、フィリピンパブで仕事をするようになった。
出稼ぎに来ている境遇さえも、まるで楽しむかのように、いつも笑顔を忘れないフィリピーナたちを目の当たりにした時、
あぁ、なぜ気付かなかったのか?!
と思わずにはいられなかった…。
明るくジョークが好き。
南国気質と言えばそれまでだが、日本人にはない、太陽のような天性の明るさに触れた時、こちらの気分までが明るくなるのを感じ、その魅力に気付かされた。
悪く言えば、フィリピーナの魔力にハマってしまった…。
そして、まさかフィリピーナと結婚するとは自分でも驚きだ。
止めたほうがいいよ…
そう忠告してくれる人もいたが、彼女と結婚したい!という勢いに任せて突っ走った…。
世間一般からすれば、あり得ないかもしれない。
信じられない、バカな奴だ、人生終わったな…そう嘲笑し冷ややかに見る者もいる。
だが、フィリピーナと結婚したからこそ見えてきたこともある。
もし日本人女性と結婚していたら、フィリピンとは無関係の人生を送っていたかもしれない。
日本人、日本について今みたいに考えることはなかったかもしれない。
フィリピンの貧困について考えることもなかったかもしれない。
だが、やはりフィリピーナと国際結婚して良かったと思っている…。
自分に色々な気づきを与えてくれた妻に、感謝したい。