お腹イタイ…
妻の妊娠がわかり、翌年の春頃には子供が生まれる…
俺も父親になるのか!!
信じられないような不思議な感覚だった。
妻は、赤ちゃんの名前を、
男の子なら、ヒデキ、
女の子なら、マリア、がいい…
と考え、
まだ半年以上も先の産まれてくる日が待ち遠しいのか、毎日嬉しそうだった。
男の子でも女の子でも、元気で産まれてくれれば…
自分は、
ただただ、そう願うばかりだった。
そんなある日…
…
妻が突然、
「アサワ…お腹イタイ…!!」
と言い出した。
初めは食あたりとか、
そんな類いかと思い、
「へんなもの食べたんじゃないの?!」
などと軽い気持ちで答えていたのだが、
どうもそうではないらしい…。
そして、
トイレから帰ってきた妻が、
「アサワ…血が出た…!!」
と言うではないか!!
まさか…
イヤな予感がする…
翌日、
慌てて妻と二人でレディースクリニックを訪ねた。
相変わらず妻は、
お腹が痛いと言っていた…。
そして…
…
結局、
流産となってしまった…。
オペをした為、
一日だけ入院することになったが、
妻は、夜通しお腹が痛いと言い、ろくに眠れなかったようだ。
妊娠からわずか2、3ヶ月足らずで失った命を想うと、
妻も私も、涙が溢れて止まらなかった。
子供が助けてくれた?!
妊娠がわかる前、妻はかなりの過食症になっていて、
元々47㎏くらいしかなかった体重が、
半年あまりの間に、
あっという間に70㎏を超すくらいになっていて、80㎏にもなろうかというほどだった…。
高血圧など、
体調が良くないことが多くなっていた。
それも、
流産の原因の1つになったのかもしれないが、
皮肉なことに、
流産になって以降、妻は痩せていき、
体調も良くなっていったのは、
生まれてくるはずだった子供が、
母親を助けた…
そう考えるのは、
あまりにも美化しすぎかもしれない。
しかし、
私はそう思いたい…。
いや、
そう思わずにはいられない。
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