両親へのプレゼント
彼女が結婚して私の妻になっても、
フィリピンのファミリーにとっては、
彼女が「一家の稼ぎ頭」
であることに変わりはない。
日本のピンパブに出稼ぎに行くことも、ファミリーのために頑張れる。
フィリピン人の家族に対する思い入れは、
日本人の理解の範囲を超えるくらいに、強いものがある。
“日本の失ったものが、
フィリピンにはある…”
そんな言葉を聞くことがあるが、
家族への思い入れも、その1つかもしれない。
妻もそんな例にもれず、一家の稼ぎ頭であるため、
フィリピンへの仕送りは欠かさない。
こればかりは、
フィリピーナと結婚した者が直面する「宿命」かもしれない。
そして、もう1つ…
フィリピーナたちの大多数は、
「両親に新しい家をプレゼントしたい!!」
という夢を持っている。
苦労して育ててくれた両親への、感謝の気持ちを忘れない。
こういう点は、
見習うべきところだ。
それは良いとして…
フィリピンで土地を購入し、
家を建てるとなると、果たして何ペソかかるのか…
ハイスクールを卒業しても、
仕事に就けるかどうかもわからず、
例え仕事があってもフィリピンの安いサラリーでは、生活をするだけでイッパイだ。
200万円~で家が建つ…?!
100万円は日本でも大きい金額だが、
フィリピンでは更に途方もない金額になる。
ある日、
「フィリピンの両親に家をプレゼントしたい!」と妻が相談してきた。
結婚する時から、
彼女にその思いがあるのは知っていたが、
果たしてお金がいくら必要になるのかわからず、
一旦は保留となっていた。
「200万円くらい出せば、
新しい家を建てられるヨ…」
「二人で将来フィリピンに住む時、そこに住めばイイヨ」
…
そんな何とも「甘い夢」を見させてくれる話を、
妻は私に熱く語ってくる。
最低でも1000万円以上~、
どんなに安くても800~900万円は日本では必要になるのに、
フィリピンでは、
200万円で家が建つ?!
マジか…
200万円はあまりにも「マユツバもの」だが、
将来に向けて、フィリピンでの拠点が欲しい…
そんな思いもあり、
思い切って家を建てる決心をした。
早速、妻はフィリピンのお兄さんと打ち合わせを始め出した。
どうやら、300万円は出さなくてもいいようだ。
「このお金を日本で、自分たちの生活に使ったほうが、どれだけ有意義か…」
喜ぶ妻を横目に、
「フィリピンの新しい家」は私にとって、実感を感じることがイマイチできない。
名義は妻…
しばらくしてから、二人でフィリピンに渡航。
どんな間取りがいいか?
壁の色、屋根の色、
家具はどれがいいか?
照明は?
キッチンは?
などなどを、お兄さんたちと相談。
私と妻の希望を最大限取り入れた家の姿が、
少しずつ形になってきた。
だが、気になることがあった。
フィリピンでは、
外国人は土地を所有できない。
日本人の夫である自分が費用を全て負担しても、
家、土地の名義は、
フィリピン人である妻になる。
そんな事情を申し訳なく思ったのか、
Γお金はミキオが出してくれたのだから…」
ということに感謝してなのか、
門扉に自分と妻のイニシャルを、L&M とデザインすることが、
お兄さんの提案で決まった。
フィリピンの家には必ず門扉があるが、
妻と私のイニシャルを門扉にデザインすることは、
Γこの家の持ち主は、この二人ですよ~」
と近所に示すことになる。
お兄さんの、心優しい配慮だ。
こうして、
「フィリピンの新しい家」が、
実現に向かって歩き出した。
その後、
帰国した私たち二人には、
工事の様子が写真で逐一送られ、
遠く日本から、
「新しい家」の完成を待ちわびることになる…
それにしても、
日本の他にΓ拠点」がある…
というのは、
もう一つの安心感、喜びを得ることかも知れない。
コメント